2.3 茎棟の掟3

○五代忠吉

9 刀 宝暦初め頃(一七五一~五四)
10 脇指 明和頃(一七六四~七二) 

四代忠吉の嫡男。元禄九年(一六九六)生まれ。初銘忠広。延享四年(一七四七)、父の歿後忠吉を襲名、三年後の寛延三年(一七五〇)、五代正広と同時に近江守を受領、この時五十五歳。父が長命であったため忠広時代が長く、後代の忠広銘はこの工の作が多い。但し、六代、七代の忠広銘が無いということではない。 

世間で余り言われていない五代忠吉の見どころの一つは、歴代忠吉の中で、他より目釘孔がやや小さいことである。安永四年(一七七五)歿、八十歳。

○六代忠吉

11 刀 天明頃(一七八一~八九)
12 脇指 天明頃(一七八一~八九)

五代忠吉の次男。兄の早死で六代目を継ぐ。兄・彦十の死は宝暦五年(一七五五)十月。翌宝暦六年正月には、後継者になったばかりの六代目と父の五代忠吉が、自作の刀を複数の神社に奉納している。長男の死を受けて、家内安全や無病息災などを祈念したものであろう。安永四年(一七七五)、父の歿後忠吉を襲名して跡目を相続、この時四十歳であるが、十五年後の寛政二年(一七九〇)近江守受領。文化十二年 (一八一五)十月歿、八十歳。 

六代は五代と逆で、目釘孔が大きい。六代忠吉の個性の一つである。