4.3 二尺を超す大脇差3

次の二口の忠国も二尺を越しているが、刀銘であるゆえ、やはり脇指である。茎棟は二口とも肉があるが、忠国の茎棟の仕立ては肥前刀のから外れていることは前述した。63の二代忠国は寸法が二尺一寸七分七厘あって、経眼したこの種の大脇指では最も長い。

上掲図16の登録証は、福岡県が発行した忠国初、二代合作銘のものであるが、見ての通り種別は「刀」となっている。二尺を境にして刀と脇指を区別した分類法で処理されている。お役所の事務方としてはこれでも仕方ないが、専門機関や鑑定家が事務方と同じレベルのことをいつまでもやっている訳にはいかない。

尚、合作銘の上総大掾治国は、二代忠国の若銘である。

62 脇指 忠国初・二代合作 延宝初め頃(一六七三~七五) 刃長二尺四分(61.8cm) 刀銘 茎棟小肉
63 脇指 二代忠国 延宝四年頃(一六七六) 刃長二尺一寸七分七厘(66.0cm) 刀銘 茎棟小肉

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